2023.07.31
Sinn
ジン・デポ 神戸三宮店
ファントムモデル 実は予想を超えて人気モデルです。
待望の第2弾!
“ファイナル ファントム”
ダイヤルに配したカラフルな8つの飛行隊の部隊マークが見る者の目を釘付けにする“あのモデル”が、特別塗装機の新たなエレメントをまとい登場しました。
2021年、ジンの歴史上類を見ないパイロットウォッチが誕生しました。航空ファンに絶大な人気を誇る「ファントム」の愛称を持つジェット戦闘機F-4ファントムIIの日本での完全退役を記念して製作された「556.F-4」です。日本の航空自衛隊でF-4ファントムIIを装備していた8つの飛行隊の部隊マークをダイヤルに配したこのモデルは、ジン史上、それどころか時計史上、見たこともないような個性あるモデルで、これを入手できたのはわずか100名という希少性の高いモデルでした。
このモデルと同様にF-4ファントムIIの退役を記念して製作された第2弾「556.F-4.II」にも、ダイヤルの1時から11時にファントムIIを装備していた8つの飛行隊の部隊マークが配されています(飛行隊の部隊マークの詳細はこちら)。そして、「556.F-4.II」には実はそのカラーリングのベースとなったファントムの特別塗装機があります。今回のメールマガジンでは、そのディテールについてご紹介します。
ジンの「556.F-4.II」のデザインベースとなったのは、F-4を装備した8つの部隊のうち、初のF-4ファントム装備部隊である第301飛行隊が2020年12月にラストフライトを行った特別塗装機436号機です。航空自衛隊においてF-4ファントムは初号機の301号機からスタートし、「シシマル」の愛称を持つ440号機まで140機が輸入・製造されました。第301飛行隊所属の最後の特別塗装機となった436号機は、136番目に製造されたファントムです。右の主翼には「Thank you Phantom II」、左の主翼には運用期間を表す「1971~2020」、機体の機首側面には「436」の数字が印されています。
ジンの「556.F-4.II」のブルーダイヤルはこの機体のパイロットブルーのアクセントカラーを、赤い秒針は日の丸や赤いラインをイメージしています。436号機のブルーは明るめのメタリックカラーですが、ジンの556.F-4.IIは8つの部隊マークがカラフルであることから、少し抑えたネイビーブルーにしています。さらに、このモデルには従来のジンのコレクション中の時計にはない、もうひとつのデザイン的な特徴を備えています。それはスーパールミノバを施したバーインデックスです。
ダイヤルの6時、9時、12時位置の2種類の太さを持ったバーインデックスの独特なデザインは、F-4ファントムIIの機首に付いている「ピトー管」を模っています。ピトー管は、航空機の対気速度を算出するために気体や液体などの流体の総圧を計測する装置ですが、F-4ファントムIIにはショートノーズとロングノーズがあり、436号機をはじめとする日本の航空自衛隊が装備するファントムはロングノーズであることから、時刻を読み取るために重要な部分のインデックスはこのロングノーズのピトー管を模っているのです。
さらに、この時計にはF-4ファントムIIの重要なエレメントがもうひとつあります。それは、ファントムIIの退役とともに姿を消してしまったもの・・・・「ファントム ザ スプーク」通称“スプーク”です。時計の裏面から見えるローターには、時計のシリアル番号とともにこのファントム公式キャラクター“スプーク”が印されています。
大きな帽子、長いマント、腰に手を当てた堂々たる立ち姿が特徴的な“スプーク”は、ファントムIIを生んだマクダネル社(現 マクダネル・ダグラス)の技術デザイナー、アンソニー“トニー”ウォン氏が肩章のためにデザインしたイラストで、アメリカ海軍のパイロットたちにより“スプーク(幽霊)”と呼ばれるようになりました。いつしかファントムIIの公式キャラクターになり、ジェット戦闘機としては異例の5,000機を超える生産数を誇るベストセラーであったファントムとともに、世界中で愛されるキャラクターとなったのです。ジンの限定モデルのデザインベースとなったファントム436号機の垂直尾翼にもこのスプークが描かれています。
「556.F-4.II」は、一作目と同様にF-4ファントムIIのエレメントを随所にちりばめた、ジンのパイロットウォッチ556をベースに200本で製作された限定モデルです。
ファントムを愛する人にとってはこの上ないコレクタブルなアイテムであり、ファントムを知らなかった人には目を奪う魅力の詰まったアイテムです。いずれにせよ、おそらくこれが最後のファントムモデルであり、こだわり抜いて作られたこのモデルは特別な存在となるでしょう。
そして、50年以上にわたり日本の空を守り続けたファントムに敬意を表し、
Thank you Phantom II !
ありがとうファントム!
ダイヤルの8つのマークと飛行隊について
第301飛行隊/百里基地/カエル
初のF-4飛行隊として1973年10月16日に正式発足。第301飛行隊によるラストフライトは2020年12月10日の特別塗装機によるもので、12月14日の改編行事により「F-4飛行隊発祥の地」である百里基地でのファントム運用は終了した。
部隊マークは、百里基地付近にある筑波山で有名な「ガマの油売り」に由来するカエル。「無事に帰る」の意味も込められている。黄色いマフラーに描かれた星は、所属飛行団に合せて数やレイアウトが変更されており、時計のダイヤルに記されたものは、最後の百里基地時代(第7航空団所属)に使用していたバージョン。
第302飛行隊/百里基地/オジロワシ
航空自衛隊2番目のF-4飛行隊として、1974年10月に千歳基地に新編された飛行隊。発足翌年から対領空侵犯措置任務に就く。2019年3月のラストフライトをもって、45年にわたるF-4EJの運用を終了。
部隊マークは、北海道に生息するオジロワシ(尾白鷲)。青い羽根が「3」、白い尾羽根が「0」、黄色い足が「2」で「302」を図案化している。ファントムラストイヤーには、『F-4とともに去り行くオジロワシ』をコンセプトとした、スプークやオジロワシ、千歳基地時代のインシグニアを描いた特別塗装機を登場させた。
第8飛行隊/三沢基地/黒ヒョウ
1960年10月に松島基地の第4航空団で編成。1997年に第306飛行隊から引き継ぐ形で改修が施されたF-4EJ改を装備。2009年3月、F-2Aへの機種改変により約12年のF-4装備を終了した。
移動の多い第8飛行隊は移動のたびに部隊マークが変更されたが、時計のダイヤルには三沢基地でのF-4装備時代に使用していたバージョンを採用。この部隊マークの黒ヒョウは、過去のコールサイン“Panther”に由来している。
第305飛行隊/百里基地/梅花
1978年12月にF-4EJを装備して編成された第305飛行隊は、百里基地の第7航空団に所属していた第206飛行隊の伝統や任務を引き継いだ。F-15Jへの機種改変に伴いF-4ファントムの運用は終了となり、1993年7月に同隊の15周年を兼ねて行ったファントムのラストフライトでは、F-4EJに15周年を記念する文字と「PHANTOMII FOREVER(ファントムIIフォーエバー)」の記念塗装を施した。
部隊マークは、第206飛行隊から受け継いだ水戸偕楽園の「梅」をデザインしたもの。
第306飛行隊/小松基地/イヌワシ
1981年6月に小松基地の第6航空団でF-4最後の飛行隊として発足。1982年にF-4EJの近代化改修が始まり、1989年、最初にこの第306飛行隊が量産された改修機のF-4EJ改を受領した。
部隊マークは、イヌワシの横顔がデザインされている。獰猛なイヌワシの英名が“Golden Eagle”であることから、飛行隊のニックネームも「ゴールデン イーグル」となっている。
第304飛行隊/築城基地/天狗
1977年8月に4番目のF-4飛行隊として創設され、のちの戦技競技会においてF-4EJで優勝も果たしている。1990年1月にはF-4EJによる任務を終了した。
部隊マークは福岡県と大分県の県境にまたがる古来より神の山として信仰されてきた英彦山に棲むといわれる天狗。コンセプトは「天狗のごとく山河を越え、鎮西の空を飛翔するものの象徴」と「天狗になるな」という意味が込められている。
第303飛行隊/小松基地/ドラゴン
部隊の発足は1975年7月。第6航空団第4飛行隊の伝統を受け継ぐかたちで誕生した。ニックネームは“Flying Dragons(飛竜)”。
精強無比である「誇り」と「ドラゴン魂」をモットーとする第303飛行隊の部隊マークは、当初使用していた能登半島と「6」をデザインしたものから、1981年に「ドラゴン」に変更になった。これは第4飛行隊が使用していたコールサインをモチーフにしたもので、時計のダイヤルにはこのドラゴンを配している。
偵察航空隊第501飛行隊/百里基地/キツツキ
航空自衛隊唯一の偵察飛行隊として1961年に松島基地で発足。本来の任務は有事の際の戦術偵察だが、災害派遣活動も実施。1974年から部隊廃止となる2020年3月までの46年にわたりファントムを装備。
当初、部隊マークは、レンズの光線屈折をイメージしたとされるシェブロンマークであったが、のちに武田信玄の川中島での「啄木鳥戦法」にちなんだキツツキのマークとなった。
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